刃物のお話

2025.04.25

鋏のネジについて

今も昔も、津軽剪定鋏とそれを参考にした製品は基本的に「左一本ネジ」で刃が組み合わせてあります。

当工場の鋏も過去には左一本ネジを使っていましたが、現在製造しておりますのはすべて「右ネジ裏ナット付」です。

これがなぜそうなったのかということですが、

今現在営業している製造元は今のところ大丈夫だとして、かつて存在した津軽の鋏鍛冶の場合、ネジも作者オリジナルの左ネジであるがために代用が効かないのが唯一の弱点だと、愛用者の方々から指摘を受けました。同じ作者でも一丁一丁に合わせて微妙に違う、しかも途中から必ず曲がっているネジなので、完璧に合うネジは本人でなければ作れないというのが使っている人にすれば大問題で、実際にシールテープを巻いたりして無理やり使い続けている人もかなり多いです。

作者がいなくなると研ぎ直しは頑張れば自分でもやれるとしてネジの交換は難しいのです。また、手作り左ネジは万力にネジを固定して鋏を回す前提で作られているので下手にスパナで回すと頭が舐めてしまう場合もあります。

一度でも分解したことがあればお気づきの方も多いと思いますが、薬師堂系の鋏のほとんどは途中までネジを締めこんでからネジを叩き曲げることで独特な擦り合わせを調整しています。ネジの頭に必ずと言っていいほど金槌で叩いた跡があるはずです。ネジの締め込みの位置が1/4回転でもズレると鋏として機能しなくなる場合があるので不必要にネジを回さないことをおすすめします。

そういうことを踏まえて、仮に私が仕事をできなくなった後の時代でも、使う人が自分でネジを交換できる鋏にしよう。という考えから当工場製の鋏はすべて右ネジ裏ナット付になったわけです。頭もシースに出し入れしやすいよう丸く削ってはいますがしっかりとスパナが掛けられるので安心して回すことができます。

納品時についているネジは、市販されている「半ネジ」ボルトのネジが無いただの棒の部分を使用して鋏の厚さに合うようにダイスで加工していますので、切刃の穴と触れている部分にはネジが切ってありません。

切り落としたネジの部分も無駄にしないで、ナガサのツバ付き口金の材料として生まれ変わります。

私が現役で仕事をしているうちは合うネジを加工して修理しますが、もしもの時には普通のM8ボルトを代わりに組付けていただければ特段問題なく使用できるよう鋏自体も工夫して作ってあります。

(代用ネジでオネジが穴に擦れても、穴より先にネジが減るよう穴周りを少し硬くしてあるため心配いりません。)

※津軽の鋏(青森県外の製造品は除く)でメネジが生きている場合に限り、当工場では左ネジの作り直しを承っております。

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